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博多いせがわ内科循環器内科 医療法人 逢

院長ブログBlog

新型コロナ

新型コロナウイルスの抗体検査に関して

当院では6月より新型コロナウイルスの抗体検査を開始致しました。
早速、数多くのお問い合わせを頂いておりますので、今回は抗体検査に関しての現時点での見解を述べたいと思います。

 

まず、新型コロナウイルスに関する検査に関してですが、PCR検査、抗原検査、抗体検査の3種類の検査法があります。
簡単に言えば、「PCR検査」と「抗原検査」は現在の感染の有無を判断する検査、「抗体検査」は過去の感染歴を判断する検査と考えてください。
「PCR検査」は、現在の感染の有無を判断するうえでの精度は一番高いと考えられていますが、検査機器が整っている特定の機関でしかできないというのが欠点です。
「抗原検査」は既にキットも発売されているため簡易的に施行可能ですが(ただ、検体採取に伴い感染リスクは当然あります)、PCR検査と比較し精度が劣るというのが欠点です。

 

では、今回のブログの本題である「抗体検査」に関してはどうでしょうか。
実は、第2回のブログ(4月27日付)(→ちょうどアメリカでの抗体検査の結果が発表された直後でした。)でも触れていますが、その頃行われたロサンゼルスでの検査結果では、実際の新型コロナウイルスの感染者数(潜在的な罹患者)は「PCR検査で確認されている患者数」の最大85倍と報告されました。また、ニューヨークでも住民の約14%に抗体が確認されたと報告されました。この頃の抗体検査のキットには精度の問題もあり、この数字がどこまで正しいかは分かりませんが、間違いなく言えることは、実際の感染者数は、「PCRで感染が確認された人数」より桁違いに多いということです。
このように、抗体検査によって感染者数が推定されるようになり、その後、世界中で抗体検査が導入されるようになりました。そして抗体検査の試薬や検査機器も日々改良されています。

 

ただ、それでも抗体検査には様々な問題があるのも事実です。

 

まず、たとえ抗体検査自体が改良され、(最近の検査方法に関しては)精度が高くなった、とは言っても、それでも結果が100%正しいとは言い切れない点です。
一般的に抗体検査は、IgM(感染初期に上昇)とIgG(感染回復後に上昇)を確認します。簡単に言えば、IgM陽性/IgG陰性であれば感染初期、IgG陽性であれば感染から回復している、と考えます。つまり、IgG陽性であれば、基本的には「そのウイルス感染にかかって回復し、免疫を持った状態」と考えます。
ただ、新型コロナウイルスの検査に限らず、こういったウイルスの抗体検査の精度が100%ということはありません。つまり、なかには本当は「新型コロナウイルスにかかって回復し、免疫を持った状態」なのにIgG抗体陰性という結果になってしまう例や、本当は新型コロナウイルスに感染した既往がないのにIgG抗体陽性になってしまう例も存在する可能性があるのです。

 

そこで一番注意しなければならない点は、IgG抗体陽性だから自分はもう新型コロナウイルスに対して免疫を持っていて罹らないはずだと過信してしまうことです。上記のように偽陽性(新型コロナウイルスに感染した既往がないのにIgG抗体陽性になってしまう)の場合もありますし、本当に新型コロナウイルスにかかった既往があり抗体を持っていたとしても、抗体が弱く再び新型コロナウイルスにかかってしまうという可能性も否定できないからです。
この点に関して補足させて頂きますと、例えば風疹の抗体検査では、抗体価が8倍、16倍、32倍などという数値が結果として出てきます。そして、抗体陽性でも抗体価が低いと風疹に新規に感染してしまうリスクがあります。これに対して現時点で施行可能な新型コロナウイルスの抗体検査は、この抗体価が計測できず(定量評価ができない)、あくまでも陽性か陰性か(定性評価のみ)のチェックです。東京大学を含めた一部の研究機関では定量検査も行えるようになってきているようですが、これが一般的に測定できるようになるにはまだまだ時間がかかりそうです。

 

このように抗体検査にも多くの問題点があるのは事実ですが、それでも私は今後抗体検査を積極的に進めていくべきであると考えています。
たとえ抗体検査の結果解釈に曖昧な部分があったとしても、抗体検査をすれば、やはり大方の感染者数が推定でき、国民のどのくらいの人数が抗体を持ったか(感染の既往がある人数の割合)ということが分かります。この抗体検査をしばらく定期的にチェックして「実際の推定感染者数」を追えば、収束の見通しも少しは見えてくるのではと期待しています。

 

また、抗体検査は経済を再開させるためにも少なからず手助けになると思います。
勿論、「自分はもう抗体を持っているから大丈夫だから気にしなくていい」と過信してしまい、油断してしまう人が出てきてしまうのは危惧されますが、医療関係者に限らず企業においても職場の人員配置を整える上での参考にはなるはずです。

 

では、いつ、この検査を行うべきなのでしょうか。

 

私の見解としては、福岡に関しては、まずは6月に行うのが良いと考えています。
なぜなら、IgG抗体は、ウイルスに感染して2-3週間後に陽性になりやすいとされています。福岡では主に3~4月に流行したと考えられるため、もしその頃に感染していれば、6月にはだいたいの方がIgG抗体陽性になっているはずだからです。
またちょうど6月から、精度が高いとされている抗体検査が実施可能になりました。(つい先月まで話題であった簡易検査キットでの抗体検査は、精度がかなり低いのではと問題視されています。)

 

当院で6月より開始した抗体検査は、精度が低いと問題視されている簡易検査キットでの検査ではなく、専門検査機関に提出し専用装置で判定する抗体検査です。
検査をご希望の方は当院までご連絡ください。

 

以上が「抗体検査」に関しての現時点での私の見解とご報告です。
「抗体検査」が新型コロナウイルス収束に向けての一助になり、一日でも早く、みなさんの安心と笑顔のある日々が戻ってくることを願っております。
ご心配ご不安なことがあれば、いつでもご相談ください。

診療時間
9:00〜13:00
14:30〜18:00

〒812-0025

福岡県福岡市博多区店屋町8-24 九勧呉服町ビル2階

TEL:092-291-6600

当院は「地下鉄呉服町駅1番出口すぐ」に位置します。

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