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博多いせがわ内科循環器内科 医療法人 逢

院長ブログBlog

新型コロナ

新型コロナウイルス感染の終息の見通しは?

緊急事態宣言が発表され約3週間が経過しました。
発表されている新型コロナウイルスの新規患者数は全国的には減りつつある印象を受けている方も多いと思います。そう願いたいところですが、この情報には注意が必要です。
何故なら、「新規にPCR検査で確認された数」は減少傾向にあるように見えるかもしれませんが、「実際の感染者」が減っているとは言えないからです。

 

東京都の発表を見てみると、「1日あたりの新型コロナ感染確認人数」はやや減っているようですが、PCR検査での陽性率が上昇しています。これは「実際の新規感染者数」が減っているとは言えず、PCR検査数が減少している影響があると考えざるを得ません。この背景に何があるのか分かりませんが、少なくとも東京において新型コロナウイルスの感染者は減っているようには思えません。

 

ただ、これは地域によっても状況が違うかもしれません。
福岡市内に関しては、緊急事態宣言が出て、想定以上に天神も博多も閑散としています。
国は人との接触を8割減らすように言い、福岡は5割程度しか減っていないと悪いもの扱いされている気もしますが、福岡も頑張っています。
様々な分野、それぞれの世代で、それぞれ色々なことを犠牲にして頑張っています。(勿論それは全国的にそうだと思いますが。)
現在の福岡の閑散状況を見れば、福岡での5割減は、東京での8割減より明らかに人の接触が減っているのではないか、と個人的には感じています。
福岡の「1日あたりの新型コロナ感染確認人数」も減少傾向にある印象ですが、現時点では、福岡に関しては「実際の感染者(潜在的な罹患者含む)」も減っている気がしますし、そう期待しています。

 

では、今後はどうなるのでしょうか。
現時点では緊急事態宣言がいつまで続くのかは分かりませんが、残念ながら、新型コロナ感染者数がこのまま減少していくことはやはりないと思います。
もしかしたら、ワクチンができるまで、もしくは集団免疫ができるまで終息は厳しいかもしれません。

 

それでは、実際にワクチン接種が可能になる時期はいつ頃なのでしょうか。
これも残念ながらまだ見通しが立っていません。各国で臨床試験が始まるという話もありますが、実際にいつ頃から接種可能かはまだ分かりません。
そして、集団免疫がいつ頃できるかも現状では全く推測すらできません。
ただ、このまま先行きが見えない状況ではもうみんな限界だと思います。
何か打開策はないのでしょうか。

 

前回のブログでも書きましたが、私はやはり抗体検査がキーになると思います。
前回のブログの後、ちょうどアメリカでの抗体検査の結果が出て、ようやく日本国内でも抗体検査の導入が前向きに検討されることになりました。抗体検査(IgG)を行えば、実際の感染者数がだいたい分かるはずです。
正直、私はアメリカでの抗体検査の結果に衝撃を受けました。ロサンゼルスでは、実際の感染者数(潜在的な罹患者)は「PCR検査で確認されている患者数」の最大85倍と報告されています。住民の2.5~4.2%が過去に新型コロナに感染している計算になるようです。また、ニューヨークでも約14%に抗体が確認されたと報告されています。
この調査の詳しい背景や内容はまだ分かりませんが、日本がアメリカより明らかにPCR検査数が少ないことを踏まえれば、日本にもかなりの数の新型コロナウイルス感染者がいることが推察されます。現在の「感染が確認された人数」の10倍どころではなく、100倍ということもあるかもしれません。

 

勿論、抗体検査には色々と問題があります。
その一つが、現在使用可能な抗体検査キットに関してはどうやら精度が低い、という点です。
一般的に抗体検査は、IgM(感染初期に上昇)とIgG(感染回復後に上昇)を確認します。簡単に言えば、IgM陽性/IgG陰性であれば感染初期、IgG陽性であれば感染から回復している、と考えます。つまり、IgG陽性であれば、基本的には「新型コロナにかかって回復し、免疫を持った状態」と考えます。
しかし、現在使用可能な抗体検査キットの精度が低いために、本当は「新型コロナにかかって回復し、免疫を持った状態」なのに、IgG抗体陰性という結果になってしまい見落とされる例がでてきます。
また、IgG抗体陽性であっても、新型コロナウイルスに対する免疫を持っているとは限らない、ということも考えられます。
例えば、風疹の抗体検査で、抗体価が8倍、16倍、32倍という数値を聞いたことがないでしょうか。風疹の場合も抗体陽性でも抗体価が低いと風疹に新規に感染してしまうリスクがあるのです。
現在使用されている新型コロナウイルスの抗体検査は、この抗体価が計測できず(定量評価ができない)、あくまでも陽性か陰性か(定性評価のみ)のチェックです。そのため、抗体を持っていても、抗体価が低いために再び新型コロナウイルスにかかってしまう可能性もあるということです。
さらにいうと、抗体が一旦できてもいつまで抗体が持続するかが不明です。
インフルエンザに毎年罹る人がいますよね。それは前年にインフルエンザにかかって抗体を持っても、翌年には抗体がなくなっているからかかりやすくなるということです。
なので、新型コロナウイルスに関しても、もし仮に3か月で抗体が消失していれば、3か月後に再度かかる可能性があるということなのです。そう考えれば恐ろしい話です。

 

抗体検査の問題点を一部あげましたが、抗体検査に種々の問題があるのは事実です。
専門家にも抗体検査に批判的な人もいます。
ただ、現時点で、抗体検査以外に先を見通せる手段や方法があるでしょうか。
私個人としては、少なくとも現状では他にないと考えています。
たとえ抗体検査の結果解釈に曖昧な部分があったとしても、抗体検査をすれば、大方の感染者数が推定でき、国民のどのくらいの人数が抗体を持ったか(感染の既往がある人数の割合)ということが分かります。
この抗体検査をしばらく定期的にチェックして「実際の推定感染者数」を追えば、終息の見通しも少しは立てやすくなるのはないでしょうか。
免疫の専門家からしてみれば、そんな短絡的なことを言って、と思われるかもしれませんが、
終息の目途を推測し、国民の不安を少しでも軽くする方法は、私にはそれ以外は思いつきません。

 

私自身も一医療従事者として、医療崩壊を防ぐことが最優先事項であることは認識していますし、できることを最大限にやっているつもりです。
ただ、世の中の人達がいま一番不安になっていることは、この厄介な新型コロナウイルスがいつ終息するのか全く目途が立たないという点ではないでしょうか。
病気への不安や恐怖、経済面での不安も、いつ終息しそうかという目安があるだけでも随分軽減されると思います。
政府の「人との接触を8割、最低7割減らす」という呼びかけは、確かに非常に重要なメッセージだと思いますが、それが達成できれば終息するというシュミレーションの詳細な根拠・データは見たことがありません。
もっと科学的な根拠に基づいたシュミレーションを行って頂きたいところです。

 

日々の診療の中で感じるみなさんの不安を少しでも和らげることが出来れば、そして小さなクリニックの一医師として発信できることは無いかと思い、前回に続き、また長々と書いてしまいました。
一日でも早く、元通りの生活に戻りたいですね。一緒に頑張りましょう。

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当院は「地下鉄呉服町駅1番出口すぐ」に位置します。

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