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博多いせがわ内科循環器内科 医療法人 逢

院長ブログBlog

新型コロナ

新型コロナウイルスのPCR検査体制について

冷え込む日も多くなり、感染症が増加する季節になってきました。
皆さん服装の調整やうがい、手洗いに気をつけて日々を過ごされていることと思います。

 

さて、久しぶりの更新となりましたが、最近の新型コロナウイルスの状況について発信させて頂きたいと思います。

 

現状としては、地域によっては新型コロナウイルスのPCR陽性者数はやや増加傾向となってきています。
では、現在(10/31)の福岡での状況はどうでしょうか。
報告されている陽性者数はほぼ毎日一桁であり、明らかな増加の様子はありません。
ただ、医療者側からの感覚としては、ここ1-2週間で(風邪が多くなる季節というのもありますが)風邪症状や発熱のある方が明らかに増えている傾向があるように感じますし、多くの学校や企業でも周囲に風邪症状のある人が多いという話をよく聞きます。

 

つい先日、福岡県内の学校でも、インフルエンザ疑いで学級閉鎖という報道がありましたよね。その件の詳細は分かりませんが、「疑い」と表現されていたので、おそらくインフルエンザの検査をしていないのではと推察されます。
今は検査体制の問題で、現場ではほとんどインフルエンザの検査はされておりません。
なので、症状からインフルエンザだろうと判断しているだけかもしれません。
しかし、インフルエンザと新型コロナは、症状からは区別がつきにくいというのが一般的な見解です。ということは、その学校の感染に実は新型コロナが混ざっている可能性も否定出来ないのではないでしょうか。

 

それから最近、診療している中で感じることとして、インフルエンザに罹ってもおかしくない季節になったことで、高熱がでればインフルエンザということで済ませたい、という心理が働いているように感じます。
(これは患者さん側に限らず、医療者、学校関係者、企業の方たちにも言える気がします。)
実は新型コロナ感染かも…と思いながらも、インフルエンザということで対処しておこうという風潮です。
そのため、ここ1-2週間の風邪やインフルエンザ疑いと考えられている人の中には、一定数は新型コロナ感染の人がいると考えておいた方が良いと私は思っています。

 

また実際、ここ1-2週間で明らかに風邪症状や発熱の方が増えていますが、そのほとんどの方に共通していることとして、患者さん側がPCRを受けたがらないという傾向があります。
新型コロナ感染の可能性が十分ありそうな症状の方で、病院側がPCRを勧めても、ほとんどの方がPCRを拒否されるようです。

 

ここでPCR検査体制について改めて言及しておきたいと思います。
もともと日本国内ではPCRをすぐに受けることが出来ず、そのことに世の中から批判が集中しました。その結果、現在は当初よりは検査体制が随分整ってきています。
当時はテレビ番組でも、「PCRはいつでも誰でも徹底してするべきだ」と唱える人や、逆に「全例PCRを行うのは間違いで、検査対象は絞って行うべきだ」など、色々な意見が討論されていました。

 

そして現在。私の意見としては、その時々の感染状況によって方針を適宜変更するべきだと思っています。

 

具体的に説明しますと、
まず、新型コロナ感染の人が非常に少ない時期や増加傾向かもしれないという状況の時は、徹底してPCRを行うべきです。この時期に徹底してPCRを行って陽性者を隔離すれば、感染者数増加の波を小さくできるはずですし、少なくとも感染者が急増し医療体制がひっ迫することは防げる可能性もあります。
ただ、現実として、こういった周囲にあまり陽性者がいない時期に、患者さん側はPCRに拒否的です。ほとんどの方がPCRは希望されないというのが実情です。患者さん側の心理も理解はできますが、本当はこういう時期こそPCRは徹底するべきだと私は思います。

 

そして逆に、第一波や第二波のピークの時のように日々多数の陽性者が出ている時期には、検査対象は多少絞るべきだと思います。勿論、実際にどれくらいの感染者がいるのかを把握することも重要ですし、基礎疾患のある人や社会経済活動を止めないために検査を受けるべき人はすぐにPCRを受けられるように、検査体制は維持するべきです。
しかし、こういう時期に、PCRが行える病院や検査センターに誰でも彼でも集まってPCRを受けようとすると、どういうことになるのでしょうか。
まず、本当に新型コロナに感染している人と、実際は新型コロナに感染していない人が接触する可能性が出てきます。さらに、多くの新型コロナ感染者が移動することに伴い、不特定多数の人との接触が起こります。また、病院に多数の新型コロナ感染者が受診することで、医療関係者にも感染が広がります。そして、病院を受診する基礎疾患のある方に感染が広がり、死亡者数の増加につながります。最終的には、医療関係者の感染者の増加により医療を提供する環境を維持することが難しくなり、医療崩壊も招きかねません。
なので、こういった最悪の状況を回避する為にも、こういう状況の時は、多少PCR検査の対象は制限せざるを得ないのです。
例えば、一人暮らしの若年者で軽症の場合、仮に検査をして陽性結果だったとしても治療方針が変わらない状況だと判断されるのであれば、できるだけPCR検査には行かず自宅待機で経過観察することが望ましいと考えられます。
ただ、そうは言っても、勿論、状況によって柔軟に対応するべきで、PCRをしなかったら社会経済活動に影響を及ぼしうる状況であれば、たとえ無症状であっても検査は保険診療や公費で受けられるようにするべきだとも思います。

 

では最後に、おそらく皆さんが最近よく耳にされている「かかりつけ医でのPCR検査」について言及したいと思います。

 

国や各自治体が、「今後は地域の診療所でも新型コロナウイルスの抗原検査やPCRを施行できるように体制を整える方針」と発表しています。
そして、福岡県内においてもこの方針は10月30日より始まりました。
これにより、「発熱や風邪症状があれば、まずはかかりつけ医に電話で相談を」となりました。そして、かかりつけ医でPCRが可能であれば、そこでPCRを必要に応じて行うようにという方針になりました。

 

この方針には医療者側としても様々な意見があり、実際には色々な問題点があります。
勿論、かかりつけ医に相談し、できるだけかかりつけ医で対応するというのは当然だと思いますし、当院では今までもそのように対応しております。
ただ、“基本的に地域の診療所でPCRを行う”という方針には賛同できません。
なぜなら、一般的な内科の診療所には、基礎疾患を持っている高齢者の方が数多く定期受診されています。そのため、ほとんどの診療所の医師は、勤務医と比較して、医師一人当たりが接触する患者さんの数が桁違いに多くなります。
そのため、いつでも誰でもどこの診療所でもすぐにPCRを受けられるようにするということになれば、基礎疾患を持っている高齢者に新型コロナ感染を広げてしまうことになり兼ねないからです。

 

駐車場でPCRを行ったり、屋外に診察場所を確保できる診療所であれば対応可能だと思いますが、都市部に多いビルクリニックではかなり制約がでてきます。おそらく、大多数のクリニックではPCRを行うとしても、受付時間を限定し(→定期患者さんの受診時間を避けて)、かかりつけの患者さんのみの対応になるのではと想定されます。

 

こういった状況の中、今年の秋冬は検査体制を含め、様々な課題を抱えたまま過ごすことになりそうですが、当院では変わらず可能な限り電話相談を受け付けております。
ご心配ご不安なことがあれば、まずは一人で悩まず、ぜひご相談ください。
病は気から、とも申します。皆さんの心と身体に寄り添って診察させて頂きます。

診療時間
9:00〜13:00
14:30〜18:00

〒812-0025

福岡県福岡市博多区店屋町8-24 九勧呉服町ビル2階

TEL:092-291-6600

当院は「地下鉄呉服町駅1番出口すぐ」に位置します。

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