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院長ブログBlog

新型コロナ

新型コロナウイルスの抗体検査に関して part2

梅雨入りし、蒸し暑い日々が続きますね。そんな中、マスクを付け、感染予防だけでなく、熱中症対策も、と大変な日々ですが、いかがお過ごしでしょうか。

 

さて、今回も「新型コロナウイルスの抗体検査」に関して、微力ながら情報を発信していきたいと思います。

 

6月上旬に厚生労働省が東京都、大阪府、宮城県で抗体検査を行いました。検査の結果は、東京は0.1%、大阪は0.17%、宮城は0.03%が抗体陽性でした。この結果に「意外と抗体陽性の人が少ない」と思った方も少なくないはずです。
しかし、この検査結果の解釈には注意が必要です。
なぜかというと、以下の理由があります。

 

この抗体検査は全例でロシュ社とアボット社の両方の抗体検査を行っています。ですが、
実は、“両方の検査で抗体陽性”の人のみ「抗体陽性」と提示しているのです。
国の「PCR陽性者数と大きく変わらないだろう」という都合の良い解釈に合わせているのでしょうか。

 

ですが、私はこの判断のしかたは間違いだと思います。
何故なら、検査結果の詳細をみてみると、どちらかの検査結果でのみ抗体陽性という例が意外と多いからです。
例を挙げると、
ロシュ社で抗体陽性の人:東京0.3%、大阪0.34%、宮城0.23%
アボット社で抗体陽性の人:東京0.2%、大阪0.54%、宮城0.11%
ロシュ社orアボット社のどちらかで抗体陽性の人:東京0.5%、大阪0.87%、宮城0.33%です。

 

また、ロシュ社やアボット社の抗体検査に関しては、検査会社のデータを参考にする限りは偽陽性(本当はコロナに感染していないのに抗体陽性になってしまう人)はあまり多くないと考えています。そのため、抗体の陽性率を確かめるうえでは、ロシュ社もしくはアボット社のどちらかの抗体が陽性であればカウントするべきだと私は考えています。

 

さらに、抗体検査というのは偽陰性(コロナに感染したにも関わらず抗体陰性になってしまう人)がある程度存在するものです。実際、アボット社の抗体検査に関しては、アメリカで偽陰性が33-48%あるという報告があります。つまり、新型コロナの1/3~1/2はアボット社の抗体検査では検出できず見落されるかもしれないということです。
以上のことを踏まえると、実際の抗体を持っている人は、厚生労働省が発表している数よりも最低でも5倍(もしかしたら10倍?)程度はいると考えるべきだと思っています。

 

当院でも6月より新型コロナウイルスの抗体検査を開始致しましたので、現段階での状況を報告させて頂きます。
6月5日から6月26日の3週間で行った抗体検査で、検体数が多くはありませんが、陽性率 4.7%でした。そして、検査結果が抗体陽性だった方の約8割は無症状で、約2割が2月~4月にかけて発熱や風邪症状など自覚症状があった方です。
あくまでも患者さん側からのご希望により行う検査ですので、当然以前に自覚症状があって、気になって検査に来られる方が比較的多いため、厚生労働省の検査より陽性率が高くなったと考えています。
(ちなみに、当院にて施行した検査はすべてロシュ社の試薬を用いた専門検査機関での検査です。)

 

また、当院での検査結果に関しての具体的な内訳は以下の通りです。
・3-4月頃に発熱や味覚・臭覚障害などがあったにも関わらず、PCR検査を保健所に拒否されPCR検査をできなかった方。
→やはりしっかり陽性になっています。
・必ずしもコロナという感じの自覚はなかったが、発熱や風邪症状はあったという方。
→抗体陰性が多い印象です。
・無症状の方。
→当院での検査に関しては今のところ全員陰性です。

 

ちなみに、ロシュ社の抗体検査(IgG+IgM)で陽性だった方(2-3月に発熱・風邪症状の既往あり)で、アボット社の抗体検査(IgG)を追加検査させて頂いた方(1例だけですが)のアボット社の抗体検査は陰性でした。
その方に関しては、IgMを検出して抗体陽性になった可能性も否定はできませんが、最近は全く風邪症状がないことを踏まえると、やはりIgGを反映して抗体陽性になったのではと考えています。
その場合、このアボット社のIgG抗体陰性結果は、偽陰性(今までにコロナにかかったにも関わらず抗体陰性になってしまう)だったということでしょうか…。何とも言えないところです。

 

このように、上記のアメリカでの報告も踏まえ、私はアボットの抗体検査の精度に関してはまだ不安を抱いています。抗体検査自体もまだまだ改良が必要なのでしょう。

 

いずれにしても、現在使用可能な抗体検査の精度を確認するためには、国内で今までにPCR陽性だった人に対して出来る限り抗体検査を行うべきです。
そうすれば、抗体検査の偽陰性の割合が分かります。さらにいえば、同じ人で定期的な抗体チェックをしていけば、抗体がいつまで持続するかなどのデータも取れるはずです。
これはかなり重要なことだと考えていますが、私の知っている限り、現時点では厚生労働省や自治体にそういう動きはなさそうです。

 

以上のことを踏まえ、当院ではしばらくはロシュ社の抗体検査を中心に検査を行っていく予定です。アボット社の抗体検査に関してもご希望の方は受け付けておりますが、検査の精度の観点から、現時点では基本的にはロシュ社での検査をお勧めします。

 

当院ではPCR検査や抗原検査は行っていないため、現在新型コロナウイルス感染が疑われる方の検査は受け付けておりませんが、抗体検査に限らず、感染がご心配な方に関しても可能な限り電話相談を受け付けております。
ご心配ご不安なことがあれば、ぜひご相談ください。

診療時間
9:00〜13:00
14:30〜18:00

〒812-0025

福岡県福岡市博多区店屋町8-24 九勧呉服町ビル2階

TEL:092-291-6600

当院は「地下鉄呉服町駅1番出口すぐ」に位置します。

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