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博多いせがわ内科循環器内科 医療法人 逢

院長ブログBlog

新型コロナ

いま新型コロナウイルス感染は収束傾向なのか?

5月も中旬になり、もうすぐ梅雨入りしそうです。
福岡は緊急事態宣言が解除されることになりましたね。

 

そこでですが、新型コロナウイルス感染者は本当に減ってきているのでしょうか。
現在の状況としては減っていると思います。
では、収束傾向なのでしょうか。
それは違うと思います。
むしろ、収束傾向と考えてはいけません。

 

たしかに、メディアで報告されている「新規にPCR検査で確認された数」は明らかに減少していますし、「実際の感染者」も今は減っていると思います。
最近よく話題に上がっているPCR検査の陽性率は急激に低下してきており、福岡県内でのゴールデンウィーク明けの陽性率は1%を切っています。ちなみに、4月下旬は7%台でした。
また、つい先日の話ですが、福岡市内の某総合病院で検査や手術で入院された患者さんを全例(約200例)PCR検査を実施したようです。その陽性率は、なんと0%です。陽性者が1人もいなかったようなのです。4月に慶応大学病院での同様の検査では陽性率6%台だったので、地域差やPCR検査の精度の問題などがあったとしても、感染者が減ってきているのは明らかです。
実際、当院においても発熱や風邪症状での電話のお問い合わせやご相談が減ってきており、ご相談状況から新型コロナウイルスかもしれないと疑われる患者さんも明らかに減ってきていると実感しています。

 

ただ、これで収束しつつあると考えるのは非常に危険です。これはあくまでも緊急事態宣言に伴う自粛の効果だと思います。

 

では、なぜ「感染者の減少=収束傾向」と考えるのが危険なのでしょうか。
その理由として、最近、ドイツや韓国などにおいて新型コロナウイルス感染者が再び増加している状況を例にあげられます。
メディアでも報道されていたように、ドイツや韓国などの国は、多くの人が、ほぼ収束してきていると思っていた国です。
そのような国々で再増加が起き、第二波と報道されていますが、これは起こるべくして起きています。

 

両国とも第一波の時に厳重に管理を行い、感染者や死者数を諸外国より抑えることに成功したと言われている国です。しかし、これは裏を返せば、まだ実際に新型コロナウイルス感染者数が少なく、おそらく抗体を持っている国民の割合が少ないということでもあるのです。その結果、当然、集団免疫もできておらず、そのような状況下での様々な制限解除に伴い、再び感染者が増加しているのです。つまり、今回の再増加は起こるべくして起きた状況なのです。
北海道の感染者数の再増加も思い返してください。これも予想されていたことです。
前回のブログでもお伝えしましたが、ある母集団で、ある一定の割合の人が抗体を持たないと、ワクチンや集団免疫がないうちは完全に収束することは期待できないのです。

 

最近、国内でも抗体検査の結果が各地で報告されています。
地域差もあるのでしょうが、国内は2-3%前後の報告が多いようです。
集団免疫で言われている70-80%の割合が本当に必要なのかどうかは分かりませんが、現在報告されている程度の割合では収束するとは考えにくいです。
こういった諸観点から「感染者の減少=収束傾向」と考えるのは危険だと私は考えています。

 

また全国的に見てもゴールデンウィークが明けてから、街中で明らかに人が増えていますよね。この状況からして、福岡を含めた都市部においては、今から数週間か遅くても1-2か月以内には第二波が必発だと考えています。
私一個人としては勿論、このまま収束して欲しいですし、収束への期待も捨てていません。梅雨による湿気がウイルスの感染力を弱めてくれないか、などとも期待してしまいますが、やはりそんなに甘くはないはずです。

 

そんな状況ではありますが、いよいよ一部の地域を含めて緊急事態宣言が解除されることになりました。
現在の国内の感染者が明らかに減少しているという状況や経済への影響を考えると、緊急事態宣言の解除は妥当だと思います。
(これは政治に無知な私の完全な憶測ですが、政府としては今回の緊急事態宣言の解除は、解除できるタイミングで今のうちに解除して、次は余程の状況にならない限りは緊急事態宣言を出さない、というような政治的意図でもあるのではないでしょうか。さすがに経済をこれ以上は止められないという政治経済的背景もあるでしょうし…。)

 

ただ、やはり、第二波は近いうちにやってきます。
では、その状況で第二波が来たらどうするのでしょうか。

 

それには第一波での私たち国民の努力が活きるはずです。
第一波の際に、国民ひとり一人はもちろん、会社や店など組織としてもどう対策するべきかを学んだはずです。また、今回の緊急事態宣言に伴い、医療者側も対応に慣れてきて医療体制としてもキャパシティが広がったはずです。第二波で感染者が徐々に増加していった場合でもある程度対応が可能なのではないのでしょうか。

 

勿論、感染者があまり増え過ぎると死者数も増加することが予測されますし、医療体制が追い付かなくなるという意味での医療崩壊が起き兼ねません。
ただ、緊急事態宣言を再度発動して今回と同じように経済活動を止めることになれば、経済の再生が不可能な状態になることは誰もが分かっていると思います。
そうなると、現実的には、第二波が来ても容易には緊急事態宣言が出されない状況下で、各個人ができる限り気をつけながら、徐々に経済活動を戻していくという選択肢しかないのではないでしょうか。

 

きっと1年後くらいにはワクチンが接種できるようになっていると思います。(その頃には集団免疫ができている可能性もありますが。)
いずれにしてもそれまでの間は何とかして乗り越えていくしかありません。

 

では、その間に治療薬はできないのでしょうか。
これだけ世界中で研究者が一所懸命頑張ってくれているので、なんとか早急に治療薬を開発して欲しいところですが、正直やはり劇的な治療薬はすぐにできるとは思えません。

 

そうなれば、今あるツールで何とかするしかありません。
もう既に承認されたレムデシビルはと言うと、今のところ死亡率を減少させるという根拠は十分には得られておらず、あくまでも重症例を中心とした補助的な役割の薬であって、治療薬とは言えません。
では皆さんがご存じのアビガンはどうなのでしょうか。
現状においては、私はこれしかないと思います。
アビガンが本当に効くという明確な根拠は現時点ではまだありませんが、新型コロナウイルスの治療に当たっている医師達も、アビガンが効く例がそれなりにあり、少なくとも現在使用できる他の薬よりは効果がありそう、ということで大方一致しているようです。
本当はもっと根拠(いわゆる、エビデンス)が必要なのでしょうが、現在のこの状況で正確な治験をやる時間的余裕はないので、医師の経験からの知見で判断せざるを得ません。
現時点での知見では、重症例では効果が得られにくいが、軽症から中等症では効果が得られる人が多いと言われています。ただ、軽症から中等症でも全く効果が得られていない患者さんも多くいるようですし、男女問わず妊娠に影響がでるかもしれないという話もまだ否定できない段階です。
そのため、アビガンは決して新型コロナウイルスの治療薬とは言えません。でも、新型コロナウイルスの治療薬が未だ出来ていない今の時点ではそれしかないと思います。

 

日常診療を行う一内科医としては、一日でも早くアビガンを保険診療ですぐに処方できるように国に承認してもらい、必要時にはすぐに使用できる状況にして欲しいところです。勿論、まだ未知のことも多く副作用の問題もあり、投与後の慎重なフォローも必須になるとは思います。あと各自治体で、新型コロナウイルスの検査もその場でできる発熱外来の設置も必要なのではないでしょうか。
結局、医療として一番重要なことはできる限り重症化する患者さんを減らし、一人でも死亡者数を減らすことです。アビガンは根本的な治療薬ではなくても、重症化を減らすことが期待できます。アビガンの一日でも早い承認を期待しています。

 

新型コロナウイルスは本当に厄介な敵です。今までにない怖いウイルスです。
現時点での国内の死亡者数は諸外国より少ないですが、油断して無防備になれば今後も死亡者数は激増する可能性があります。
間違いなく長い闘いになります。
でも、いつかは収束します。
正しく恐れながら、一緒に向き合っていきましょう。ご不安な時にはご相談ください。

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当院は「地下鉄呉服町駅1番出口すぐ」に位置します。

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